東京高等裁判所 昭和56年(ネ)2786号・昭56年(ネ)2784号・昭57年(ネ)1485号 判決
第一審原告石井清は、第一審被告角田菊江は昭和五四年一月一八日千葉家庭裁判所において行われた亡石井さたの遺言書の検認手続において前記遺言書の存在を知ったので、それから一年を経過したことにより遺留分減殺請求権は時効により消滅したと主張するが、第一審被告角田菊江が遺言書の検認手続において前記遺言書の存在を知ったとしても、第一審被告角田菊江は、第一審原告石井清が亡石井さたから全財産の遺贈を受けたと主張して、原審において同人の承継人として訴訟承継の申立をしたのに対して、直ちに亡石井さたの遺言の効力を争い、昭和五六年一〇月二七日右遺言を有効と認めて第一審原告石井清の承継適格を認めた原判決が言渡されるや、これに控訴し昭和五七年九月一三日午前一〇時の当審第五回口頭弁論期日において遺留分減殺請求権を行使したことが記録上明らかである。このように遺贈の主張がなされたのに対して当初から遺言書による遺言の効力を争っており、しかも右遺言の効力について確定判決が存在するわけでもない以上いまだ第一審被告角田菊江は民法一〇四二条にいう「減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った」ということはできない。したがって、第一審原告石井清の右主張を採用することはできない。
(森 高橋 小林)